広瀬台はり院|コラム|鍼治療でギックリ腰の回復を早める

広瀬台はり院

コラム記事

最終更新日:2025年10月30日

鍼治療でギックリ腰の回復を早める

一般的に、ギックリ腰(急性腰痛症)は、2週間程度で自然治癒するケースが多く、安静にしていれば良くなると言われています。しかし、仕事の都合などから連日安静にしていられない方も多く、早期復帰が喫緊の課題となります。鍼治療は、「自然治癒力を引き出し、回復までの期間を短くする」と言われています。そのため、そういった方にとっては、鍼治療が大きな助けとなると感じています。

ギックリ腰の急性期の通説では、「炎症があるため鍼はしない方が良い」とされていますが、私はそうは思いません。一目見て腫れ上がっているようなケースはほとんどなく、鍼治療が可能な場合が多い印象です。しかし、施術時においては、いくつか注意すべきことがあります。

ギックリ腰の原因の多くは、「前に屈んだ時に~」「物を持ち上げた時に~」「くしゃみをした時に~」と言った「何らかの刺激によって生じた腰部の大きな筋肉の痙攣(筋スパズム)」です。この小さな刺激で大きな筋肉が痙攣を起こすと言うことは、「鍼の刺激によっても痙攣が誘発されやすい状態」とも言えます。そのため、通常の鍼施術のように鍼が刺さったまま次の鍼を刺していくことが出来ません。

理由は、ひとたび痙攣が生じると、筋肉が過度に収縮し、刺さっている鍼が筋線維に巻き込まれてしまい、強い痛みを伴います。また、鍼が筋線維に巻き込まれた痛みによっても、さらに筋収縮が強まってしまう恐れがあります。もちろん、圧したり揉んだりと言った刺激も同様に注意が必要です。鍼ではなく整体であれば問題ないと言うことではありません。

私が鍼をする際は、動作や触察から緊張の強い筋肉を同定していきます。緊張が強い場合は、「前揉撚(ぜんじゅうねん:施術前に患部を撫でさすりリラックスさせる手技)」、赤外線治療器で局所を温めたり、遠位部から刺激を開始していきます。また、局所に施術をする際には、鍼を一本ずつ刺して抜くを繰り返す「単刺術(たんしじゅつ)」をしながら、患者さんの反応をみていきます。もし過収縮が生じても、鍼一本であれば「しぶり鍼(筋線維に絡まって抜けづらくなる)」になる可能性も下がります。また、細い鍼を使用した方がよい印象がありますが、細い鍼は「切鍼(折れたり、曲がったり)」や「抜鍼困難」のリスクが高いため、使用しません。

可能であれば、「置鍼(ちしん:刺したままにする)」をし、腫脹など炎症反応が強くなければ、赤外線治療器で長めに温めていきます。温めることの利点は、局所の血流量増加だけではなく、自律神経を整えてリラックスさせる作用もあります。そのため、30分程度を目安に、置鍼時間は長めに設定するようにしています。鍼を抜いた後は、「後揉撚(こうじゅうねん:施術後に患部を撫でさすりリラックスさせる手技)」を施します。また、動作をさせた上で、気になる箇所に単刺術を行い、施術完了とすることが多いです。

一般的に、発症からすぐのほうが、症状軽減はしづらい傾向にあります。これは、ギックリ腰の性質上仕方のないことです。まれに施術直後から著効し、まったく痛みがなくなる方もいますが、どちらかと言えば、翌日に変化が起きることが多い印象です。寝て起きたら「あれ、、、だいぶいいかも」と言う話はよく聞きます。

ギックリ腰とは言っても、単なる筋肉の痙攣ではなく、「尿管結石」や「腰椎椎間板ヘルニア」のような疾患の場合もあります。可能な限り、医療機関を先に受診することをおすすめしています。また、2週間以上経っても自然治癒しない場合、局所の「筋硬結(コリ)」が回復を邪魔しているような「筋筋膜性疼痛(きんきんまくせいとうつう)」も考えられます。一般的に、筋筋膜性疼痛には鍼が効きやすいと言われているため、鍼もおすすめしています。

一覧へ戻る

▶ トップに戻る