広瀬台はり院|コラム|頭皮鍼と脳機能局在

広瀬台はり院

コラム記事

最終更新日:2025年11月01日

頭皮鍼と脳機能局在

頭部には多くの経穴(ツボ)が存在するため、古来から重要なポイントとされてきました。近年は、脳機能にアプローチする「頭皮鍼療法(とうひしんりょうほう:頭皮に鍼をする鍼治療法)」が注目されています。とくに1950年代に開発された「焦氏頭皮鍼療法(中国)」が有名です。現在の国際標準頭皮鍼(WHO)命名の原型になっています。私もよく使用しています。

この多くの頭皮鍼は、「頭皮=脳の地図」という考え方から来ており、「脳の機能局在(特定の働きを担当する部位)に一致するポイント」を「刺鍼点」とします。また、脳の損傷が広範囲に及ぶ場合は、画像所見に合わせて広範囲に刺鍼を行います。

頭蓋骨が直下にあるため、「頭皮鍼は、比較的安全」と言われています。また、頭皮鍼は、「頭蓋骨と皮膚の間に鍼を滑り込ませる手技」のため、深くまで入ることはありません。ただし、頭部には、毛細血管が豊富なため出血が多く、抜鍼時には処置(圧迫止血)が必要ですが、大きな問題となることはありません。

焦氏頭皮鍼療法では、「頭皮を脳の投射区(反射区)」として扱い、「運動区」や「感覚区」、「震顫区」、「視区」などと分けてあります。これは、運動区であれば、大脳前頭葉の「中心前回(一次運動野:運動を司る部位)」に位置し、感覚区は、大脳頭頂葉の「中心後回(一次体性感覚野:感覚を司る部位)」に位置します。運動区を細かく分けると、「上1/5は下肢・体幹、中2/5を上肢、下2/5を頭・顔など」に相当し、障害された部位に応じて刺鍼をしていきます。感覚区も同様に、「上1/5は下肢・体幹、中2/5を上肢、下2/5を顔など」に分けます。いわゆる、「脳の小人(ホムンクルス:足が短く、手と顔が大きい)」と呼ばれる形で、足が小さく、手や顔が大きく描かれるのが特徴です。これは脳機能局在をそのまま反映しています。

現代の頭皮鍼療法は、脳科学の視点を加えて体系化されており、「現代医学とも親和性が高い」と言えます。その他、三叉神経は脳血管の調整に関与するため、前髪際(ぜんはっさい:髪の生え際)から頭頂部にかけた部位を刺激することで、脳血流量増加などの効果が期待できます。「頭部への鍼は怖い、、、」と思われがちですが、適切な手技を行えば安全性が高く、一定の効果が得られるため、臨床でも重宝されています。

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