鍼の効果
実は、鍼をした局所だけでなく、中枢(脳)を介したさまざまな反応が引き起こされることで、症状の軽減をはじめとする良い変化が生じます。また、これらの作用は複数が組み合わさって働くと考えられています。臨床的・生理学的に整理すると、鍼の効果の主要メカニズムは以下に集約できます。下記ボタンをクリックすると、各作用の詳細をご覧いただけます。
■1)軸索反射による局所血流改善
局所血流改善による鎮痛と治癒促進
- 鍼刺激
- Aδ線維・C線維(感覚神経)が興奮
- 逆行性にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、サブスタンスP(SP)放出
- 血管拡張・局所血流増加(flare)
- 発痛物質クリアランス促進(洗い流し)
- 局所での痛みが軽減
■2)体性―自律神経反射 / 体性―内臓反射
脳中枢を介した全身調整作用
- 鍼刺激
- Aδ線維・C線維(感覚神経)が興奮
- 脊髄後角 → 脳幹・視床下部(自律神経中枢)へ伝達
- 中枢で自律神経バランスが調整
- 身体機能の遠隔的な調整
■3)下行性疼痛抑制系の賦活
内因性オピオイドなどを介した鎮痛作用
- 鍼刺激
- Aδ線維・C線維が痛み情報を脳へ伝達(上行)
- 中脳中心灰白質(PAG)で内因性オピオイド(βエンドルフィン等)が産生
- セロトニン(5-HT)・ノルアドレナリン(NA)系が賦活(下行性抑制線維)
- 脊髄後角で痛み信号を抑制
- 痛みの感じ方が低下
■4)局所単収縮反応(LTR)による筋緊張改善
筋紡錘を介した反射性調整
- 鍼刺激
- 筋紡錘(Ⅰa求心性線維の受容器)が反応
- Ⅰa線維 → 脊髄へ伝達
- α運動ニューロンを介して反射性収縮(LTR)
- 異常な筋緊張がリセット
- 筋血流の回復と痛みの軽減
■5)アデノシンA1受容体を介した鎮痛
末梢での侵害抑制作用
- 鍼刺激
- 組織内のATPが分解されアデノシンが増加
- アデノシンA1受容体(A1R)が活性化
- 末梢侵害受容の神経活動が抑制
- 局所での痛みが軽減