広瀬台はり院|コラム|昨今問題となっている「薬物乱用頭痛(MOH)」と鍼灸の可能性

広瀬台はり院

コラム記事

最終更新日:2025年11月21日

昨今問題となっている「薬物乱用頭痛(MOH)」と鍼灸の可能性

鍼灸治療は、高齢者向けのイメージが強いですが、最近は、「比較的若年層の頭痛や肩こり(頚腕症候群)などに対する需要が高くなっている」イメージです。NHKで放送された『東洋医学ホントのチカラ「健康の大問題 解決SP」』の中でも「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、medication-overuse headache:MOH)」とその鍼灸治療について触れられており、改めて潜在需要を強く感じました。

昨今問題となっている「薬物乱用頭痛」とは、「アセトアミノフェン」や「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:イブプロフェン、ロキソプロフェン)」などの頭痛薬を、月10~15日以上の頻度で服用し続けると、薬の作用時間が短くなり、脳が過敏化して痛みが増していく状態です。また、薬を服用した際の安心感や快感が「脳の快楽報酬として記憶される」ことで、薬が切れると不安が高まり、さらに薬を求めるという依存的なループが形成される場合があります。このような「負のループ(薬物依存の状態)」は、自力ではなかなか断ち切ることが困難とされています。

治療の基本は「減薬(量を減らす)」または「断薬(薬を止める)」ですが、自己判断による急な減薬・断薬は離脱症状を伴うことがあり、「医師の指導のもと段階的に薬を減らす方法」が現実的です。その過程において、鍼灸治療を併用することであります。鍼灸治療には、「①血流改善による発痛物質の除去」、「②交感神経の緊張を抑えて副交感神経を高める自律神経調整作用」、「③下降性疼痛抑制系を介した中枢性鎮痛作用」などが知られており、これらの作用が総合的に働くことで症状緩和が期待されています。また、鍼灸治療は、薬剤との飲み合わせなどもなく、副作用の可能性も低いため安全な運用が可能です。

鍼灸を利用する場合は、「症状の強い時期は週1〜2回程度から始め、経過に応じて施術間隔を徐々に空けていく方法」が一般的です。症状の安定に伴い来院頻度は減っていきます。また、再発しやすいタイプでは疲労やストレスが蓄積した際に再燃することがあるため、必要に応じてメンテナンス目的の施術を組み合わせる場合もあります。

このように、鍼灸治療は「①頭痛の症状の軽減・改善」、「②再発リスクを低減できる可能性」があり、薬に依存しない状態を目指す目的で選択される場面も多くなってきています。

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